★猫ちゃんの「リンパ腫」2025年追記

以前にも当院のWebサイトに書いた記憶があるんですが、

冨に最近「猫のリンパ腫」の患者さんが増えている気がします。

★「リンパ腫」の原因は良く分かっていません。

飼育者にたばこを吸う方がいらっしゃる家庭では、猫がリンパ腫になる確率がアップするというデータがでています。

「たばこ」と言えば人間では「肺がん」で有名ですが、猫では肺ではなく「リンパ腫」であるところが、興味深いところです。

 

これには、猫が被毛を良く舐めることに起因するのでは?と予想されています。

被毛に付いた「たばこの煙」などを舐めることによって、体内に取り込まれているのかも知れません。

 

リンパ腫は身体の様々な部位に生じますが、

猫では鼻の中にできるリンパ腫(鼻腔内リンパ腫)と消化管にできる(消化管型リンパ腫)が多いです。

昔は胸の中にできる(縦隔型リンパ腫)が多かったのですが、こちらはめっきり減りました。

私もこの7〜8年ほど遭遇していません。

こちらは、ウイルス感染にも関与していると言われている為、室内飼育の猫ちゃんが増えていることも要因と思います。

 

一般的に、リンパ腫は主に生じる場所によって「~型リンパ腫」という名称が付けられます。

また、リンパ腫には生じる部位以外にも、「細胞のタイプ」による分類もされていて、

B細胞・T細胞性に分けたり、大細胞性・小細胞性、また細胞内に顆粒のある大顆粒型(LGL)など色々な名称があります。

また、高悪性度、低悪性度、や低分化型、高分化型など様々な分類がその「リンパ腫」の治療法や予後(治療による反応率や回復具合など)に役立っています。

 

難しくなるので詳細は割愛します(これらの病理学的分類を参考に治療プランを考えるのが獣医さんの仕事というわけです)

 

猫ちゃんの場合、リンパ腫特有の症状はありませんが、「ある程度の年齢」で「食欲のムラ」があり「時々嘔吐や下痢」などが生じ「体重が減った」

などがみられる場合には、一度は「リンパ腫」を疑ってみてもよいと思っています。

もちろんお鼻の症状がある場合には「鼻腔内リンパ腫」を鑑別リストにいれることになるでしょう。

 

私個人も一人の猫の飼い主であるので、なかなか嫌がる猫ちゃんを病院に連れて行くのは気が引けることは重々承知しております。

猫に嫌われたくない!ですし、ご機嫌を損ねたくもないですよね。

でもご家族さんからみて、「何か変だな?」という予感で構わないと思うのです。

何か気になる症状があったら主治医さんに相談していただくのが良いと思います。

ご家族の「予感」はわりとよく当たるものです。

 

獣医である前にひとりの愛猫家として、いつまでも猫ちゃんが元気にいられますようにと願っています

さいたま市 大宮区 武内どうぶつ病院   獣医がん学会認定「獣医腫瘍科認定医Ⅱ種」武内弘之