☆「いわゆるワクチンアレルギーについて」

☆近年のワクチンメーカの努力によって、副作用や副反応の少ない製品となってきていますが、100%安全で副作用の出ない犬・猫のワクチンは存在しません。ワクチン接種による副作用で一番危惧しなければならないのが、
アナフィラキシー反応(アナフィラキシーショック)です。
ワクチン接種後、数分から数十分以内に何らかの異常が発現します。 スズメバチに刺されるとか、ヘビに噛まれたと同じ様な事がおきます。急なふらつき(虚脱)、よだれ、意識の低下、呼吸促迫などの症状が現れます。

ただちに、緊急処置が必要になるものですので、接種後しばらくは十分に観察することが必要です。

また、ワクチン接種後数時間で起きるものが、遅発型のアレルギーといわれるもので、顔面腫脹・痒み・軽い嘔吐、発熱などが生じます。

※ このため、当院ではワクチン接種は午前中をおすすめしています。

午後の場合であっても、なるべく診察開始直後の接種をオススメしており、閉院まぎわのご来院の場合には、接種を延期させて頂く場合がございます。

下は、ワクチンアレルギーのために、お顔が腫れたダックスです。※ダックスのわんちゃんは、アレルギー反応を起こしやすいと言われています。

☆猫ちゃんの場合

猫で特に問題になっているものに、「ワクチン接種部位肉腫」(悪性腫瘍)の存在があります。ワクチンの構成成分である「アジュバント」に何らかの発生要因があるのでは?と言われていますが100%確かなことは判っていません。念のため当院では、猫ワクチンにはノンアジュバント(アジュバントのない)製品を選択しています。別の項目に「注射部位肉腫」という題目で、記載してありますのでよろしければ、ご覧下さい。

この肉腫は悪性なので、この腫瘍が原因で命を落とすこともあります。治療には患部の拡大切除以外にはありまえん。近年、WASAVAAAFP(American Association of Feline Practitioner))世界的に猫のワクチン接種部位に背中や首を選ぶのは控え、腹部側面の皮下や膝や肘より遠位に接種しましょうと推奨しています。

これは、「ワクチン接種部位肉腫」が発生した場合、首や背中では真下の脊髄があるため充分な切除手術が実施できないのが理由です。

飼育環境や飼い主様の事情を充分に考慮し、それに見合ったワクチンを接種すればよいと思います。たとえば猫1匹のみの飼育で、完全室内飼いで外に出ない猫ちゃんの場合には、5種混合ワクチンや猫免疫不全ウイルス(FIV)のワクチン接種は必要ありません。5種ワクチンの予防に含まれている、「猫白血病ウィルス感染」はウイルスを持った猫(キャリア)の唾液や体液に接触しなければ感染しません。すなわち、室内で単独飼育の猫に感染することはありません

また、完全な統計データがあるわけではありませんが、5種混合ワクチンを接種した猫ちゃんは発熱したり副反応の発現が多い?といわれています。

※ 近年、ワクチン接種間隔は変更になる可能性があります。

犬ワクチン、猫ワクチンについても、ご相談下さい。

武内どうぶつ病院