歯周病とその治療について
歯周病とはなんでしょうか?「食べカスで歯が汚れ、臭うようになる事ではありません。」
実は歯周病とは、「歯周病菌の感染症が歯の周囲組織に生じ、次第にアゴの骨が腐っていく病気です。」
重要なのは「アゴの骨」であって、「歯」が溶けるのではありません。ヒトと違って、歯が溶ける(虫歯)は犬猫には極めて稀です。一般的には無いと言っても良いくらいです。
つまり、歯の表面は(誤解を恐れずに言えば)歯周病とは関係ありません。歯の表面の歯石を取ったからといって歯周炎を予防したことにも、治療したことにもなりません。
目で見える表面の歯石を除去することは、動物の健康維持にはほとんど効果がなく、きれいになった感じがするだけで、単に見た目だけの効果しかありません。
私は歯周病治療の際には、「歯石だけを取る」ことの説明にご家族様にお話しするのは「車の安全点検をお願いして、洗車しかしてもらっていないのと同じ」という説明をさせていただいています。足まわり(エンジンやブレーキ)を全然見てもらっていないような状態といえるのではないでしょうか。
●当院の例を以下にご紹介いたします。
↑この子の歯表面の「歯石」付着量はそれほどでもありません。いわゆる見た目はわりとキレイな方でしょう。
でも、左右の写真を比べてみてください。器具の先端がズッポリと歯の脇から挿入できてしまうほど、深いポケットができています。
実際には、この歯はグラグラと同様しており、なおかつ「くしゃみなどの症状」がでていた為、これが原因になっていることが強く疑われました。
見た目が当てにならない良い例だと思います。
※実際には、必要に応じて口腔のレントゲン撮影を行い「歯根」や「顎骨」の状況を事前に把握した上で行います。
このままではいつになっても「鼻の症状」は無くなりませんし、なにしろ「上顎骨(顔の骨)」の溶解を食い止められません。
本来であれば、この部位に位置する歯は2本の歯根を持っているため、中央で分割して抜歯するのですが、写真のように容易に抜けてしまいました。
抜歯した後は、抜歯窩を洗浄したあと歯科用の抗生剤軟膏を注入します。
歯槽骨(歯根があった場所のアゴの骨)をトリミングして、歯肉縫合をして歯ぐきを寄せます。
自然に溶ける糸を使いますので抜糸は必要ありません。
★ 歯周病や歯石除去についてもご相談ください。 武内どうぶつ病院