犬猫のマダニ予防は、人の健康も守ります!(追記あり)
日本国内で、マダニに噛まれて人が亡くなることがあるのをご存知でしょうか?最近、猫にかまれた女性が「SFTS」(重症熱性血小板減少症候群)とよばれる感染症で死亡したというショッキングな発表が厚生労働省からありました。獣医師会からも、関連事項が会員に伝達されました。
この、「SFTS」は「重症熱性血小板減少症候群」と呼ばれ、過去4年間に国内で50人以上が死亡しているのです。 当院のある埼玉県ではあまり馴染みがないかもしれませんが、西日本を中心に全国に広がりを見せています!!日本全国に広まるのは、時間の問題?かもしれません。
しかも現在有効なワクチンは存在しません!!
この病気の原因は「マダニに刺される」ことで、ウイルスに感染することが原因です。原因ウイルスは、ブニヤウイルス科フレボウイルス属に分類されるウイルスと言われています。マダニに刺された際に、吸血されウイルスを体内に移されることで感染します。
※ マダニはいわゆるハウスダストなどの原因となるイエダニとは違います。
※ マダニにも、色々な種類があり「フタトゲチマダニ」「ヤマトマダニ」「キチマダニ」「オオトゲチマダニ」「ヤマトチマダニ」など関東圏でも6〜7種類の
マダニが生息していると言われています。
※ 一部の成ダニは、冬でも活動していることがわかっています。
よく、ノミと比べられますがノミと違い、刺されてても(実際には噛まれる)自覚がなく気づかないことも多いのがマダニの特徴です。
このダニ、人だけでなく犬、猫にも感染します。犬猫を介して、人への感染も理論上ありえます。
あり得るというより、実際感染する事例が報告されました。
すなわち、人間がダニに直接噛まれて感染するだけでなく、「ダニ→犬や猫→ヒト」というルートで感染が成立するようです。
●実際に、人間が猫から直接「SFTS」に感染した疑いがあるケースが、世界で初めて報告されました。それも日本でです!
こちらも、場所は西日本です。詳細については、研究機関(山口大学など)で検証されていると聞きますが、この猫も人と同じように、SFTSに似た症状と所見がみられたそうです。すなわち、「発熱、下痢、嘔吐」などに加え、SFTSの名前の由来にもなった「血小板の減少」が猫に認められたようです。
実は、あまり知られていませんが西日本の動物園で飼育されていたチーターが、SFTSに感染して死亡したという報告があります。
このことから、 (国立環境研究所 生物・生態系環境研究センターの五箇公一さんは、ネコ科動物はSFTSウイルスに感受性が高いのかもしれないという点と、猫の体内でSFTSウイルスが増殖してしまう恐れを指摘されています。
●さらに、先日(2017.10/10)、徳島県内の40代の男性がペットの犬から感染したと同県と厚生労働省(厚労省)が発表しました。犬から感染したことが確認されたのは国内では初めてで、世界的にも報告例はないようです。
幸い、この方は死亡しておらず、犬も回復しているようです。
今回の徳島県のケースは、マダニにかまれた痕がないのに体内から感染抗体が検出され、さらにSFTSに感染したペット犬の口などに直接触れる世話をしていたことなどから、厚労省と同県は犬から感染したと判断したとされています。
そして最も重要なのは、「その犬は、屋外での散歩中に感染した可能性が高い」と指摘されている点です。
●マダニに噛まれたわんちゃんの写真です。
目尻についているのですが、わかりますでしょうか。患部を湿らせて、拡大してみます。
下の写真は、別の皮膚の場所についているマダニです。噛みつかれている周辺の皮膚が赤く炎症を起こし始めています。
マダニの体部をつまむとマダニ体内の成分が、動物の体内に入ってしまう確率を増してしますので、注意深く取り除きます。
取り除いた「マダニ」です。皮膚に寄生したまま放置すると、吸血しこの3~4倍の大きさになります。
★予防はシンプルです。「ダニに刺されないこと」これにつきます。私達にできることは、次のようなことだと思います。
1.人間の場合は、野山などに立ち入る場合には、長袖長ズボンを着用して肌の露出をなるべく小さくする。靴もできればブーツ型がおすすめ。
2,犬猫たちには、マダニ予防をしっかり施す。できれば通年で実施がおすすめです。
3,できる限り、植え込みや草むら、落ち葉の貯まっている様なところは立ち入らないようにする。
※ 市街地の公園や、自宅のお庭に出ただけでもマダニに感染することはあります。
秋の行楽シーズンです。愛犬と一緒に、高原は野山に出かける機会もあろうと思います。
しっかりと、マダニ予防薬を定期的に(可能なら通年で)使用して、しっかりと対策をしてお出かけください!!
※ ご家族さまの健康を守る為にも、わんちゃん、猫ちゃんに「各種マダニ予防のお薬」をしてあげてください。
各種お薬がありますので、ご相談ください。
武内どうぶつ病院