★猫ちゃんの「リンパ腫」
以前にも当院のWebサイトに書いた記憶があるんですが、
冨に最近「猫のリンパ腫」の患者さんが増えている気がします。
★「リンパ腫」の原因は良く分かっていません。
ただし、飼育者にたばこを吸う方がいらっしゃる家庭では、猫がリンパ腫になる確率が
アップするというデータがでています。
「たばこ」と言えば人間では「肺がん」で有名ですが、猫では肺ではなく「リンパ腫」であるところが、興味深いところです。
これには、猫が被毛を良く舐めることに起因するのでは?と予想されています。
被毛に付いた「たばこの煙」などを舐めることによって、体内に取り込まれているのかも知れません。
リンパ腫は身体の様々な部位に生じますが、
鼻の中にできるリンパ腫(鼻腔内リンパ腫)と消化管にできる(消化管型リンパ腫)が多いです。
昔は胸の中にできる(縦隔型リンパ腫)が多かったのですが、こちらはめっきり減りました。
私もこの7〜8年ほど遭遇していません。
こちらは、ウイルス感染にも関与していると言われている為、室内外の猫ちゃんが増えていることも要因と思います。
一般的に、リンパ腫は生じる場所によって「~型リンパ腫」という名称が付けられます。
もちろん猫の消化管の場合には、リンパ腫以外にも「がん」は発生します。
猫の胃の腫瘍はそのほとんどが「リンパ腫」という統計がでています。
ちなみに、小腸は「リンパ腫」が多くてその次が「腺癌」という悪性腫瘍。
大腸は「腺癌」の方が多くてその次に発生しやすいのが「リンパ腫」という統計がでています。
また、リンパ腫には生じる部位以外にも、細胞のタイプによる分類もされていて、
大細胞性、小細胞性、大顆粒型(LGL)などがあります。
また、高悪性度、低悪性度、や低分化型、高分化型など様々な分類がその「リンパ腫」
の治療法や予後(治療による反応率や回復具合など)に役立っています。
話しは、難しくなるので詳細は割愛しますね。
「ある程度のお歳」で「食欲のムラ」があり「時々嘔吐や下痢」などが生じ、「体重が減った」
などがみられる場合には、一度は「リンパ腫」を疑ってみてもよいと思います。
また、お鼻の症状は、そのまま「鼻腔内リンパ腫」を鑑別リストにいれなければなりません。
でも、上記の様な症状は、他のどんな疾患(たとえば腎臓疾患など)でも起こりえますし、必ずしも病気で起こる
わけではないところがリンパ腫発見の難しいところでもあります。
私個人も一人の猫の飼い主であるので、なかなか嫌がる猫ちゃんを病院に連れて行くのは
気が引けることは重々承知しております。
猫に嫌われたくない!ですし、ご機嫌を損ねたくもないですよね。
でもご家族さんからみて、「何か変だな?」という予感で構わないと思うのです。
気になったら、タイミングをみて、診察にきてもらうと良いと思います。
ご家族の「予感」はわりとよく当たるものです。
いつもと違う様子がある一定以上続くのであれば、一度健診をうけてみることもよいと思います。
「リンパ腫」の治療もドンドン進歩していますので、ご相談くださいね。
いつまでも愛猫が元気にいられますように!