仔猫を育てることになった!さあ、どうしよう?

最近、仔猫さんの来院が増えています。きっと、春に交配した母猫さんが出産し子育てしている時期ですので、そのためだと思います。

今回は仔猫の飼育と、その関連事項を書いてみました。

1子猫の体調管理と環境について考慮してあげてください

特に家に迎え入れたばかりの子猫には、ストレスがかかっていることがよくあります。子猫が寝ている時は休息をとっている時ですから、無理に起こさずそっとしておいてあげてください。身体か過度に汚れていない限り、入浴もしばらく控えたほうが無難です。タオルなどで身体を拭き、濡れていたら乾かしてあげましょう。14日間位はじっくり家の環境に慣らす時間をとって下さい。仔猫の場合には、まだ体温調節がうまくいきません。特に寒い季節は体温低下に気を付けてください。夏でもクーラーをかけていると床付近はけっこう気温が下がっている場合がありますので、タオルや毛布を入れてあげるなど、保温対策をしてあげると良いでしょう。

2食事をどうしよう。

生後間もない仔猫で、まだ離乳ができていない場合には、人工的に授乳させてあげる必要があります。その際には「牛乳」ではなく市販の仔猫用ミルクを使ってあげて下さい。下痢の原因になることがあります。授乳の際には「ペット用ほ乳瓶」が市販されていますので、これを使うと便利です。ゴム製の乳首が添付されていますが、先端に穴を開ける際には小さな穴にしてください。大きすぎると仔猫が加えたときに多量のミルクが出てしまい誤嚥の原因になります。ほ乳瓶を逆さまにした時にミルクのしずくがポタポタ出てくるようだと穴が大きすぎです。授乳の回数は1日5〜6回をめやすにしてください。

離乳食に切り替える時期は、体重350〜400gを目安に考えればよいでしょう。離乳食には、以下のもので試して見るとよいです。

①市販で売られている物を使う。

②仔猫用のドライフードをお湯ふやかせて使う。

③仔猫用の缶詰orパウチのフードを暖めて使う。

始めのうちはお皿ではなく、人の小指の上に乗せて、お口に持って行ってあげてください。慣れたら、小さな小皿に暖めた離乳食を少量置いてあげてみてください。完全に離乳できるのは生後一ヵ月半くらいです。生まれて2ヵ月たてば通常完全離乳できている時期のはずです。

フードもドライフードをそのまま食べるようになってきます。そうしたら仔猫用に作られたフードに完全に切り替えて大丈夫です。まだまだ胃の内容量も小さいので、1日に3〜4回に分けて食事をさせてあげると良いと思います。

大人になれば、「総合栄養食」と記載のある製品を選んであたえて下さい。仔猫用から成猫用への切り替え時期に明確な基準はありませんが、8ヵ月から1才、または避妊・去勢手術のあとからなどが目安になります。

「正常な発育は良質な食事から生まれます」

体格は生まれ持ったものですので、その子本来の体つきに成長することが大切です。つまり、その子の骨格に見合った筋肉、脂肪をつけることが極めて大切です。食事量を抑えても、小柄の子にはなりません。痩せた虚弱体型になるだけです。また、過度に与えても体格の良い子になるわけではなく、脂肪過多の肥満児になるだけですし、糖尿病や関節疾患などのリスク要因にもなります。

3 猫に与えてはいけない物

ネギ(タマネギ、長ネギなどは貧血を起こすことがあります)

貝類(特にアワビやサザエなどは毒素を持っている事があります)

チョコレート(中毒をおこし、不整脈、ときにけいれんなどを引き起こします)

牛乳(乳糖を消化できず下痢の原因となります)

青みのお魚(多量に与える過ぎるとビタミンE欠乏を生じ「黄色脂肪症」という疾患を引き起こすことがあります)

味の濃いもの(一般的には塩分含有量の多いもの)腎臓に負荷をかけやすい。

犬のごはん(ドックフード)犬と猫は全く別の生き物と考えてください。必要な栄養成分も量も違います。

※食べ物ではないけれど、気を付けてほしいもの

 

以下の物も猫から遠ざけたほうが良い物とされています。

殺虫剤やヘアスプレー

床お掃除の洗剤やワックス

アロマオイル(ティーツリーなど

観葉植物(アイビー、ポトス、アロエなど)

お花(ユリ、チューリップなど

毛糸やひも

いずれも、中毒や異物となる可能性がある物ですので気を付けて下さいね。

 

4トイレは大切。

まだ小さいうちは、仔猫は自分で排泄ができませんので、少し暖かくぬらした綿花やティッシュで肛門を軽くノックしたり、のの字を書くように刺激して、排泄をうながしてあげるとよいでしょう。くれぐれも擦り過ぎないようにしてあげてください。おトイレができるようになったら、まずは小さめの靴箱程度の大きさの箱に猫用の砂をいれて様子をうかがってください。慣れてきたら、大きめのトイレに変えてあげることをお忘れなく。

最近は様々なタイプの「猫砂」が市販されています。個人的には、なるべく粒の小さなタイプで無香料のもので、色が白い物のほうが、血尿などの発見がしやすくおすすめです。

 

不適切なトイレは、膀胱炎など色々な疾患を誘発することがあります。充分な大きさで、フードのついていないものがオススメです。置き場所については人の出入りが少なく、静かな場所で西日などが当たらない所がよいと思います。

 

5 最後にお願いがあります。

可能な限り、猫ちゃんは室内飼育をしてあげて下さい。

環境やお住まいの状況、ご家族の事情などの違いがありますので100%実施するのは難しいかもしれませんが、可能な限り室内飼育をおすすめいたします。お外での生活は交通事故や各種感染症(ウィルスや猫フィラリアなど)リスクが高くなりますので、猫ちゃんの健康を考えると室内がおすすめです。

感染症対策として「ワクチン接種」をしてあげると良いと思います。接種のタイミング(時期)やどの種類のワクチン(3種混合ワクチンなど)を接種するかは、飼育環境などを考慮して、かかりつけの獣医師と相談の上決定すると良いでしょう。

また不妊手術(去勢・避妊)を実施すると、外への興味も少なくなると言われていますので考慮するとよいでしょう。不妊手術においては、メリット・デメリットがありますので、こちらもかかりつけの先生と相談すると良いと思います。