眼瞼(まぶた)の腫瘍と切除手術

瞼(まぶた)にイボの様なおできが生じることがあります。その多くがわんちゃんです。

特に中年期から高年期に多く見られます。

病理学統計上、まぶたに生じる多くの腫瘤は「良性」で直接生命に危険を及ぼすことは少ないのですが、別の問題が生じます。

 

ひとつは、大きくなりすぎると「まぶた」を広範囲に切除しなければならず、外見面(美容面)の問題となります。

また、中途半端な切除では、再発率をあげてしまうため、せっかく麻酔をかけて手術しても、メリットが少なくなってしまします。

もうひとつは、腫瘤が大きくなり眼球に触れるようになると、涙が多くなったり、目やに(眼脂)が増えたりします。さらには、角膜炎が生じ眼球に大きな障害を引き起こす要因にもなり得ます。このような角膜障害を伴っている場合には、角膜の治療を平行して実施しなければならず、ご家族さまの負担も多くなってしまいます。

 

※ 角膜障害の治療には、ヒアルロン酸点眼液やアセチルシステイン点眼液に加え、状況によっては抗菌薬の内服なども併用していきます。

 

★眼瞼腫瘤は大きくなる前に外科切除を検討していった方がよいかと思います。

時に、「先生、無麻酔で今取ってくれませんか?」とご依頼されることがあります。

★これは以下の様な理由で当院では実施していません。

前述したように、眼瞼腫瘍は良性(皮脂腺腫、扁平細胞性乳頭腫、線維腫など)が多いですが、もちろん悪性の腫瘍もあります。これには、悪性黒色腫(メラノーマ)、扁平上皮癌、線維肉腫、腺癌などがあります。

もし悪性だったとしたら、不用意な切除は大きな代償をともないます。無麻酔でキチンと切除を行わないならば、何もしない方が良いくらいです。

また、「まぶた」という部分は、生体においてとても特殊な部位です。
身体のどの部位よりも薄い皮膚を持ち、下眼瞼(下のまぶた)はつねに重力にさからって、その形態を維持しなければなりません。
また、まぶたの位置によって、外側、中央、内側と微妙に厚さが違うため、病変部を単に切除してしまうと、後に著しく眼の形(輪郭)が変わってしまう場合があります。

眼はお顔の印象に大きなウエイトをしめますので、やはり丁寧に、慎重に、麻酔下で実施したほうがよいと考えます。

病変のできている場所や大きさによって、瞼の手術方法は少し違ってくるのですが、その理由にもなっています。

 

眼瞼腫瘍の手術例をご紹介します。

下の写真は目尻に生じたできものです。右眼の外眼角(目尻)付近にイボ状の腫瘤が生じています。眼球結膜(白目のところ)が充血して血管が走っているのが判ると思います。

眼球に影響を及ぼし始めている所見です。

この場所は上のまぶたと下のまぶたの境界部位なので、ちょっと位置的に少しイヤな部位です。

手術、特に縫合に神経を使います。

まぶたを閉じたり開いたりする際、上眼瞼と下眼瞼では別の力が働くことになるために、単純に切除して縫合すると術後に違和感が強くでてしまい、多くの犬が顔を擦ってしまいます。

たとえエリザベスカラーをしていても、擦り続けます。(>_<)

 

切除部位同士の辺縁の厚さが違うので、なるべく段差なく縫合する必要があります。

縫合が終わって、部位を確認しているところです。

切除した、まぶたの腫瘤です。

 

下の写真は術後、手術後約3週間たった写真です。
うまく眼瞼の外ラインが合ったようで違和感も少なくすみました。

毛が生えるのが早いですね!

病理検査の結果は「乳頭腫」との診断でした。悪性でなくよかったです。

 

★追加)猫ちゃんのまぶたに出来る腫瘍は、悪性のものも多い為、

躊躇なく診察をうけていただくことをおすすめします!!

眼瞼の腫瘤についは、大きくなると切除手術が広範囲になり、術後の眼の印象も変わってきてしまう

こともございます。お早めにご相談いたがくのがよいと思います。

武内どうぶつ病院