猫の耳に発生した「扁平上皮癌」について(白色の猫ちゃんはご用心!)

「扁平上皮癌」は皮膚(特に耳、鼻、まぶた、足先など)の他、口腔内や肺などの部位にも生じる皮膚腫瘍のひとつです。

見た目は、かさぶた状、カリフラワー状、キノコ状など様々なため、見ただけでは診断がつきません。

※見た目で 「様子を見ましょう」 は危険です!

猫では、特に毛の色が白い子に発生が多いと言われています。これは紫外線の影響がひとつの要因とされています。

治療としては、ありふれていますが外科切除がすすめられます。その他放射線照射なども選択されます。

私自身は外科手術をおすすめします。(もちろん、術前検査で麻酔リスクを十分に判断してからになります)

「扁平上皮癌」は文字通り、癌ですので悪性ですが「進行や転移が遅い腫瘍」といえます。

※転移しないわけではありません。

したがって、手術したあとに長期にコントロールが可能であることも多いからです。

特に、今回の症例でもご紹介しているように、猫の耳介の扁平上皮癌では外科手術した後2年間再発せずという報告もあります。

化学療法(抗がん剤治療)には、カルボプラチンやドキソルビシン、ブレオマイシンなどが使われます。

また、緩和療法として、ピロキシカムやミソプロストールなどが使われます。

扁平上皮癌の犬ではシクロオキシゲナーゼ2(COX-2)という酵素を出しており、このCOX-2をブロックしてやると腫瘍の縮小が期待できるとされています。その薬としてCOX-2阻害剤を用いることが試みられています(NSAIDs)

猫での効果判定は現在確定してはいませんが、犬と同様に効果がみられる例があり、私自身も有効例を経験しております。

また費用面でも、外科手術や放射線照射より安価ですので、あきらめずに試して見る価値はあるかと思います。

もちろん手術と併用も可能です。

 

以下に当院の例をお示しします。

左耳の先端が黒色に変色・変形しており、辺縁はかさぶた状になっています。

右耳にも、いつまでたっても治癒しないかさぶたがあります。

★検査:患部を採材し、細胞診にて確定診断します。血液検査や画像検査などで術前の評価をします。

ご家族さまにご説明し、手術治療となりました。ご決断に感謝です。

上記、患部を消毒しドレ-ピングします。

術後すぐの写真です。まだ麻酔と鎮痛剤が効いています。

二日間入院したのち退院いたしました。

現在(2018年春)において、術後5年たっておりますが、再発せずに経過良好です。

猫ちゃん、わんちゃんの皮膚腫瘤(腫瘍、癌)についてもご相談ください。

さいたま市 大宮区 さいたま新都心 見沼区 武内どうぶつ病院です。