精巣の大きさが違う(精巣腫瘍の手術)

精巣については以前「潜在精巣」の表題で書かせていただいたことがありました。

「精巣の腫瘍」は以下の3種が良く知られています

1. 精上皮腫(セミノーマ)

2. セルトリー細胞腫

3. 間質細胞腫(ライディッヒ細胞腫)

 

1.セルトリ細胞腫

そもそもセルトリ細胞とは、精子をつくる細胞に栄養をあたえたり、支えたりしている細胞です。この細胞が腫瘍化したものが「セルトリ細胞腫」です。

2.精上皮腫(セミノーマ)

生殖細胞が腫瘍化したもので、精上皮腫とも言われます

3.間細胞腫

間細胞は男性ホルモンのアンドロゲンを分泌しています

 

 潜在精巣の場合の腫瘍は、セミノーマ、セルトリ細胞腫が多いと言われており、その中でもセルトリ細胞腫の発生が高いと報告されています。

潜在精巣(陰睾)のおけるセルトリ細胞腫、セミノーマの発生は正常精巣と比べてその発生率は約13倍と言われています。

精巣腫瘍の悪性度はどうか?

色々な報告がありますが、セミノーマでは約10%.セルトリ細胞腫では10-20%に転移が認められています

転移は通常、腰周辺のリンパ節(鼡径リンパや内腸骨リンパ節など)におこりその後肺や他の腹腔内臓器に起こると言われています。

精巣の腫瘍については、特別な症状を引き起こさないことも多いので、触診して精巣が大きくなっていないか、表面に凹凸がないか、左右差がないかなどでチェックします。

セルトリ細胞腫では、雌性化と言ってオスなのにメスのような外見になる症状がでることがあります。

たとえば男の子なのに乳房が張ってきたりします。また体毛が乏しくなったり皮膚の色素沈着が現れたりします。

 

当院での一例

別件で診察に訪れたのですが、身体検査したところ左側の精巣表面がデコボコして触知されました。

精巣の炎症病変や腫瘍全般についてお話しさせていただき、摘出することになりました。

上記の写真は精巣を包んでいる総鞘膜というカバーごと精巣を摘出したところです。(写真上の方にビローンと延ばしているのが、精巣を包んでいた総鞘膜です。)

悪性度が高いものですと、この総鞘膜の内側に腫瘍細胞が播種している可能性があるために、腫瘍が疑われる時はこの膜ごと切除しました。

 

※ 病理検査の結果は、「間細胞腫」(ライディッヒ細胞腫)でした。

同時に摘出した右の精巣には腫瘍性変化は認められませんでした。

精巣腫瘍についても、ご相談ください。  さいたま市 大宮区 武内どうぶつ病院