★フェノバール反応性流涎・フェノバルビタール反応性唾液腺症

突然、よだれ(流涎)が過剰に出て、時に嘔吐や口をクチャクチャしたりする症状がでます。

見た目は元気なこともありますが、食欲がなかったり、時には興奮や沈鬱などの状態を伴ったりします。

唾液を出す「唾液腺」が腫れていることもあれば、正常所見の場合もあります。

現実には、先生!「よだれがダラダラ垂れているのだけど」という主訴でご来院されます。

 

私が、この疾患にはじめて出会ったのは日本獣医生命科学大学病院、神経科に研究生として在籍していた時でした。

当時は、「フェノバール反応性流涎症」などと呼ばれていたと記憶しています。

※ 同じような疾患に、ヒトの「壊死性唾液腺化生」という病気があるようですが、これと同じものなのかよく判っていないようです。

※ フェノバールは薬の製品名で、成分名をフェノバルビタールといいます。

今日では「フェノバール反応性流涎症」よりも、「フェノバルビタール反応性唾液腺症」と呼ばれているようです。

 

◎この疾患の特徴は以下のようなものになります。

過剰な唾液の分泌が生じている。

口腔内などに他のヨダレが過剰分泌しうる疾患(歯周病や各種炎症、腫瘍など)がない。

薬物・毒物の接種可能性がない。

この疾患の検査ですが、「この検査すればOK」という特別な検査がありません。

いわゆる他の病気は見当たらない事を確認する検査(除外検査)をするしかありません。

 

★「よだれ」の出る他の疾患の例

口の中の病気(歯や歯肉の異常)消化器の病気(食道炎や膵炎、異物摂取など)唾液腺の病気(唾液腺炎など)神経疾患(焦点発作やナルコレプシー/カタレプシーなど)色々な疾患群があります。

この除外検査には様々な検査が含まれます。

レントゲン検査、CTやMRI検査 / 唾液腺の生検 / 消化管の超音波検査、内視鏡 / 各種血液検査や尿検査など。

しかし、どの検査をどこまでやったらよいかの基準はありません。

検査項目を増やせば診断精度が上がりますが、ご家族さまの費用負担も増えるということになりますので、落としどころを考えねば成りませんね。

ある程度の検査と状況証拠から、「フェノバルビタール反応性唾液腺症」を疑い、試験的にフェノバール(フェノバルビタール)というお薬を投与し、改善するか反応を見るということになります。

診断はいわば後付けということになりますね。

この疾患、「フェノバール(フェノバルビタール)」というお薬にとても良く効きます。

※ 効かないならば他の疾患が隠れていないか再度検証する必要があるかもしれません。

当院でも、今までこの病気が疑われた患者さんが今までに3例ありました。近い将来、この「フェノバルビタール反応性唾液腺症」は別の病気に分類されるかもしれません。

詳しくはまだ判明しておりませんが、「てんかん」の病態の1つではないかと言われているようです。

さいたま市 大宮区 さいたま新都心 武内どうぶつ病院