細菌の検査(グラム染色検査)

細菌の検査には色々なものがあるのですが、その内の1つ、細菌グラム染色検査についてお話しします。

私達は、生体から採取した検査材料を顕微鏡で検査することがあります。

これには、尿や便、皮膚から採取して分泌物、おできから吸引した細胞などなど色々です。

その検査材料を顕微鏡で見ていくわけですが、そのままでは何も見えません!

見る前に「染色」という過程を加えないとなりません。

私達が良く見る顕微鏡写真と言われるものは、すべてこの染色という過程を経ています。※電子顕微鏡などは除く

私達が、良く行う染色にデフクイック染色、ギムザ染色などがあります。

その染色の中でも「細菌用」の染色方法が「グラム染色」です

細菌のタイプを分類するために無くてはならない染色方法です。大腸菌やブドウ球菌などは一般にもよく知られた細菌ですね。レンサ球菌、緑膿菌などもそうです。

 

グラム染色することによって、詐取された菌がどういったタイプの菌なのか予想できます。

残念ながら、グラム染色することによって、「菌の名前」までは決定できません。これには「細菌培養検査」という検査を実施しなければなりません。

グラム染色をすると、細菌は丸い菌、細長い菌、数珠のように連なる菌、など形がハッキリわかるようになります。

また、染まり具合によりピンク色の菌、紫色の菌に分けられます。

 

すなわち、グラム染色の結果、菌の名前はつけられなくても、「細菌のグループ分け」が可能になるのです。

そうすることで「どういった抗生物質・抗菌剤」が効く可能性が高いのか?が判るようになります。

これは、極めて大切な事です。

 

効かないお薬を飲んでも(つけても)意味がないですし、最近話題になっている「耐性菌」の発生を助長させてしまう危険性がでてきます。

簡単に言えば「効くお薬を選んで、短期に決着をつける!」ために無くてはならない検査といえますね。

上記のように患部から、滅菌綿棒などで採材しスライドガラスにうつします。このあと固定(アルコール、火炎など)処置を行います。

グラム染色は3回の工程があります。写真右上にあるように3色の液に浸して染めていきます。写真は最後の工程の「赤(サフラニン)」の液に浸しているところです。

 

上記は染め上げた後のものです、このスライドグラスの表面にそれぞれの色で染まった細菌達がいるわけです。